胸部・腹部


  

胸部は胴体の上半分で胸郭を基盤としている.
胸部は上部が下部より広く,筋の発達した男性では胸の上部は特に広くなっている.
腹部は胸郭と骨盤の間に存在する.
腹部の形態は年齢,性別,体型などにより個人差はあるが,一般的に男性の腹部は円筒型に似ており,
女性では骨盤が発達しているため下腹部が横に広がりを見せる.


大胸筋(だいきょうきん)

  


大胸筋は胸部前面にある扇形をした広大な筋で,男性で容易に観察できる.
この筋は上から,鎖骨部・胸肋部・腹部の3つの領域に分けられる.

 起始(鎖骨部):鎖骨内側半
   (胸肋部):胸骨前面  第1〜6肋軟骨
   (腹部) :腹直筋鞘前葉

 停止:上腕骨大結節稜

 機能:肩関節の屈曲内転内旋
    クライミング(綱登り等)の際の体幹の上・前方への牽引 など

 筋力トレーニング:ベンチプレスなど

          ベンチプレスでは大胸筋各部の強化が可能.
          グリップの幅を変えることで強化部位も変わる.

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前鋸筋(ぜんきょきん)

  


前鋸筋は胸部側面に位置し,その形状がギザギザの鋸(ノコギリ)に似ていることから,前鋸筋と呼ばれている.

 起始:第1〜9肋骨の外側面

 停止:肩甲骨の前面を通過して肩甲骨内側縁と下角に付着

 機能:肩甲骨を前方に引く
    肋骨を引き上げ,呼気運動を助ける  など

 筋力トレーニング:前鋸筋のみを集中して鍛えることは難しい.
          倒立時などにこの筋が表出するのがよくわかる.

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腹直筋(ふくちょくきん)

  


腹直筋は左右一対になっており,胸部と骨盤間のベルトの役割を果たす.
腹直筋前層は
腱画によって中断され,「腹筋が割れている」状態が観察できる.

 起始:第5〜7肋軟骨前面と胸骨剣状突起

 停止:恥骨結合,恥骨結節

 機能:両側が同時に収縮すると骨盤の後傾(出っ尻の防止),脊椎の前屈
    片側の収縮で脊椎側屈(右側が収縮すると体が右に傾く)

 筋力トレーニング:クランチャーなど

          身体を曲げると同時に左右への捻りを加えるとよい.
          このトレーニングは腰への負担が少ないため,腰痛の人
          の腹筋トレーニングに適している.            

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外腹斜筋(がいふくしゃきん)

  


外腹斜筋は腹部前面外側にあり,左右に一つずつ存在する.
前鋸筋のギザギザとかみ合っている.

 起始:第5〜12肋骨の外面

 停止:腸骨稜  腱膜に移行し,腹直筋鞘に付着

 機能:両側同時収縮で骨盤の後傾(出っ尻の防止),脊椎の前屈
    筋と反対側への体幹の捻転(体を左に捻る時は右側の外腹斜筋が収縮)

 筋力トレーニング:ダンベル・サイドベンドなど

          体幹の側屈動作によるトレーニング.
          仰向けで腰を左右に捻るヒップロールなども効果的である.

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