電脳体表解剖学図譜-専門用語集-


一軸関節(いちじくかんせつ)
関節の運動軸が単一で,一定の方向にしか運動できない関節.腕尺関節(上腕骨と尺骨との関節)や指の関節に見られる.

横紋筋(おうもんきん)
筋はその組織的な特徴から横紋筋と平滑筋の2種類に大別される.
横紋筋はその筋組織に横紋(横縞模様)が見られる.横紋筋は全ての骨格筋と一部の内臓筋に見られる.
横紋筋は意志に従って収縮するので,随意筋と呼ばれる.

回外(かいがい)
前腕と足における回旋運動である.図のように掌を体幹の外側へ向けること.
上腕の回旋運動は外旋・内旋と言う.
図1.手首の回外運動

回旋(かいせん)
体肢・体幹をその長軸を軸として回転させることを回旋という.また,この作用を行う筋を回旋筋という.
内旋,外旋,回内,回外などが回旋運動にあたる.

外旋(がいせん)
腕・脚の長軸のまわりでおこる作用で,内旋とは逆に四肢を体幹の外側へ回旋させることをいう.
図2は上腕を水平に挙上した状態から外旋させている.
図2.上腕の外旋

回内(かいない)
前腕と足における回旋運動で,図のように,掌を体幹の方へ向けること.
上腕のの回旋運動は内旋・外旋と言う.
図3.前腕の回内

外転(がいてん)
体肢を体幹から遠ざける作用のこと.この作用を行う筋を外転筋という.
図4.脚の外転

外反(がいはん)
体肢が外側へ反り返ること.特に前腕,下腿,足の親指などに見られる.エックス脚の人では,下腿が外反しているのがよくわかる.外反母趾で悩む人では,足の親指が小指側(外側)に反り返っているのがよくわかる.
図5.足首の外反

下肢(かし)
下肢はいわゆる脚のことで,下肢帯・大腿・下腿・足の四部分から構成される.大腿は股関節から膝関節との間をいい,大腿骨を基盤としている.下腿は膝関節と足首までの区分を指す.足は足首より末端の部分をいう.

下肢帯(かしたい)
下肢帯は体幹と自由下肢(大腿・下腿・足)とを連結する.下肢帯の中核は寛骨(骨盤を形成する左右の骨)という一対の骨である.

下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
腓腹筋とヒラメ筋の二つを合わせて下腿三頭筋と呼んでいる.下腿後面にある大きな屈筋で,体表から容易に観察できる.

起始(きし)
筋の両端をそれぞれ起始と停止と呼ぶ.起始を骨からの始まりの部分とすると,停止は骨に付着する終わりの部分と言える.
また,筋が収縮する時に固定されているか,動きの少ない方を起始と呼ぶ.筋頭のことを起始といってもよい.

胸郭(きょうかく)
胸部を形作る骨格で,胸椎12個・肋骨12対・胸骨1個から形成される.
胸郭の中には,心臓や肺をはじめ,多くの臓器が格納されている.

胸椎(きょうつい)
胸部の椎骨(首の下から腰の上までの背骨)のことで12個存在する.胸椎の各椎骨には左右に一対の肋骨がついている.

筋線維(きんせんい)
筋を組織レベルで見てみると,細かい線維が集まって筋を形成しているのがわかる.この線維を筋線維と呼ぶ.筋線維は更に細い筋原線維(筋細胞)からなる.筋線維の数は生後全く変化しないが,筋原線維の数はトレーニングなどによって増殖すると言われている.

筋頭(きんとう)
筋の両端のうち一方を筋頭といい,他方を筋尾という.
筋頭のことを起始,筋尾のことを停止とも呼ぶ.
筋頭は筋の運動に際して比較的動きの少ない端である.

筋尾(きんび)
筋の両端のうち一方を筋頭といい,他方を筋尾という.
筋頭のことを起始,筋尾のことを停止とも呼ぶ.
筋尾は筋の運動の際に,筋頭とは対称的に,よく動く方の筋の端である.

筋腹(きんぷく)
筋の中央部を筋腹と呼んでいる.筋腹は筋の主部をなしている.
筋腹は腱よりも弾性が強く,伸びやすい.

筋膜(きんまく)
筋の表面は結合組織の膜で覆われており,これを筋膜という.筋と筋膜の間は滑りやすい構造になっている.
また筋が隣り合う筋などとズレ合う場合には,筋膜が潤滑剤の役割を果たし,筋と筋との滑動を助ける.

屈曲(くっきょく)
関節を曲げること.この作用を行う筋を屈筋という.
図のように肘を曲げると屈曲,反対に伸ばすと伸展.
図6.肘関節の屈曲

頚椎(けいつい)
頚部(首)の椎骨で,7個の椎骨がある.頭蓋骨側に近い第一頚椎と第二頚椎は特徴的な形をしている.第一頚椎は環状をしており,環椎とも呼ばれる.第二頚椎は第一頚椎の環と関節するための軸をもっていることから,軸椎とも呼ばれる.また,第七頚椎は首を前に曲げたとき,首の後ろに隆起を見せるため,隆椎とも呼ばれる.

結合組織(けつごうそしき)
組織同士を結合させる組織で,主に繊維状の細胞からなる.筋膜,腱,靱帯などは結合組織に含まれる.

腱(けん)
筋の両端部は筋線維が次第に白色の結合組織線維に変わる.この部分を腱といい,筋と骨をつなぐ役割をしている.
腱は筋よりも柔軟性に乏しいが,引っ張りの力に対しては筋よりも強い.

腱画(けんかく)
腹直筋に見られるような横に走る溝(中間腱)のことを腱画という.腱画は筋腹を中断し,筋腹と同じ幅で線状に筋腹を横断する.

腱膜(けんまく)
板状の筋では腱も板状をしている.このようなものを腱膜という.

骨格筋(こっかくきん)
骨格に付いてこれを運動させるものを骨格筋という.骨格筋はすべて横紋筋線維からなる.

上肢(じょうし)
上肢はいわゆる腕のことで,上肢帯・上腕・前腕・手の四部分に分けられる.上腕は肩から肘までを,前腕は肘から手首までをいう.

上肢帯(じょうしたい)
上肢帯は鎖骨と肩甲骨で形成され,自由上肢(上腕・前腕・手)と体幹を連結する役割を果たしている.

靱帯(じんたい)
靱帯とは紐上あるいは帯状の結合組織体で,骨と骨を連結するはたらきをする.靱帯は関節での骨の連結を助け,関節が伸びすぎたり曲がりすぎたりしないよう,関節を強固にしている.

伸展(しんてん)
関節を伸ばすこと.図7は肘関節の伸展であるが,これと反対方向の動きを屈曲と言う.また,この作用を行う筋を伸筋という.
図7.肘関節の伸展

脊柱(せきちゅう)
脊柱は身体の中核をなす骨格で,いわゆる背骨のことである.上下に連結された椎骨が集合してできた柱で,ヒトでは32〜34の椎骨でできている.

仙骨(せんこつ)
左右の寛骨や第五腰椎,尾骨と共に骨盤を形成している骨で,骨盤中心部にある三角形に近い形をした骨である.

仙椎(せんつい)
出生後から成人期までは,5個の仙椎は軟骨によって結合されて存在している.成人ではこれらの仙椎が結合して一個の骨になる.これが仙骨である.

体幹(たいかん)
体幹は身体の中軸をなす部分である.体幹は,頭部・頚部・胸部・腹部に分けられる.また,体幹背面の頚部・胸部・腹部を合わせて背部という.

体肢(たいし)
要するに,腕と脚のことである.腕を上肢,脚を下肢とも言う.上肢と下肢をまとめて体肢と呼んでいるだけのことである.

多軸関節(たじくかんせつ)
肩関節や股関節のように運動軸を多くもつ関節のことで,結局は様々な方向へ曲がる関節のこと.屈曲,伸展,外転,内転など多くの運動が可能である.
例えば肩関節や股関節は様々な方向へ曲がるので,多軸関節であると言える.

単関節筋(たんかんせつきん)
単関節筋とは,筋腹(筋の中央部)が一つの関節だけまたいでいる筋である.例えば,ヒラメ筋は下腿から始まって踵(踵骨)に付着しており,足関節しかまたいでいないので,単関節筋であると言える.

椎骨(ついこつ)
脊柱を形成する骨のことで,32〜34個の椎骨が上下に連結されて脊柱が形成される.椎骨は脊柱上の位置から次の5種に分類される.
頚椎(7個),胸椎(12個),腰椎(5個),仙椎(5個),尾椎(3〜5個)

停止(ていし)
筋の両端をそれぞれ起始と停止と呼ぶ.起始を骨からの始まりの部分とすると,停止は骨に付着する終わりの部分と言える.また,筋が収縮する時に,比較的動きの多い方が停止である.
停止のことを筋尾(きんび)と呼ぶ場合もある.

出っ尻(でっちり)
身体を横から見て,直立姿勢でも殿部(尻)が後方に過度に突出している状態である.これは腹筋の力が弱まるなどが原因で骨盤が前方へ傾きすぎるために起こる. この場合,腰痛を引き起こすきっかけになる.腹筋を鍛えることで,出っ尻を防止できる.

内旋(ないせん)
内旋は四肢(両腕・両脚)でおこる作用で,四肢を内側に回旋させることをいう.図8は上腕を水平に挙上した状態から内旋運動を行っている.
また,前腕の回旋運動は回内・回外と呼ぶので注意したい.
図8.上腕の内旋

内臓筋(ないぞうきん)
内臓壁に存在しているものを内臓筋という.内臓筋は主として平滑筋である.また,心臓は横紋筋と平滑筋の両方のタイプをもっている.

内転(ないてん)
体肢を体幹に近づけることである.この運動を行う筋を内転筋という.
図9は脚の内転運動である.
図9.脚の内転

内反(ないはん)
体肢が内側へ反り返ること.O脚の人では,下腿が内反しているのがよくわかる.
運動中は足首の内反が起こりやすく,捻挫をしやすい.特に球技系に多く見られる.
ちなみに捻挫とは,靱帯の損傷(部分的な断裂や全断裂)のことである.
図10.足首の内反

二関節筋(にかんせつきん)
上腕二頭筋などのように,二つの関節をまたいで付着している筋のことである.二関節筋は二つの関節の運動に関わる.(上腕二頭筋の場合,肩関節と肘関節をまたぎ,それぞれの屈曲動作に関わる.)

ハムストリングス
大腿後面の筋(大腿二頭筋,半腱,半膜様筋)を総称して俗にハムストリングスと呼ぶ.これは食用のハムを動物のモモの後の部分から作ることから由来している.

尾骨(びこつ)
尾骨は仙骨の末端部分に付いている.3〜5個の尾椎が癒着して一個の尾骨を形成する.
俗に言う「びていこつ」がこの骨を指しているのかは不明.

腹直筋鞘(ふくちょくきんしょう)
腹直筋の前後を包む至って強い結合組織のさや.腹直筋鞘はその外側で外腹斜筋などの腱膜に続いている.左右の腹直筋鞘は正中線(身体の中心を縦に貫く線)で相合して,白線をつくる.

平滑筋(へいかつきん)
筋を組織的な特徴から見て,筋線維に横縞模様のある繊維とそうでない繊維とに大別される.前者を横紋筋と呼び,後者を縞模様のない平滑筋と呼ぶ.
平滑筋は血管,リンパ管,内臓諸器官などに存在し,意志に従わずに運動することから,不随意筋と呼ばれている.

腰椎(ようつい)
腰の部分の背骨のことで,全部で5個の椎骨からなる.第5腰椎は仙椎(仙骨)と関節し,これと左右の寛骨,尾骨と共に骨盤を形成する.