自由下肢骨 free part of lower limb

 上肢骨との相同については自由上肢骨でみた。一般に上肢はきゃしゃなつくりで,下肢は頑丈なつくりといえる。両者の長さの相対比はヒトと他の霊長類で対照的である(ヒトは相対的に下肢が長い)。このような下肢の形態は直立二足歩行と深く係わっている。直立二足歩行の機能と関連して,足の母指対向性は失われたが,足弓という形態を獲得したとみることができる。

1. 大腿骨 femur
・頭 head (1-1), 体 shaft (1-2), 顆 condyle (1-3)を区別せよ
・大腿骨頭 head of femur (2)
---- 股関節 hip joint (3)
・大腿骨頭窩 fovea for ligament of head (4);何が着くか
・大腿骨頚 neck of femur (5);体とどのくらいの角度をなしているか
・大転子 greater trochanter (6);何が着くか
・小転子 lesser trochanter (7);何が着くか
・転子窩 trochanteric fossa (8)
生体では何によって埋められているか
転子間稜 intertrochanteric crest (9);何が着くか
・大腿骨体 shaft of femur (1-2)
・殿筋粗面 gluteal tuberosity (11)
何が着くか;四足獣では良く発達し第三転子 third trochanter となっている。
・粗線 linea aspera (12)
何が着くか;上方はどこに続くか
・恥骨筋線 pectineal line (13);何が着くか
・大腿骨顆 condyle of femur
内側顆 medial condyle of femur (15-1),外側顆 lateral condyle of femur (15-2)
内側上顆 medial epicondyle of femur (16-1),外側上顆 lateral epicondyle of femur (16-2)
膝蓋面 popliteal surface (17);内側,外側どちらが大きいか
・膝関節 knee joint (18);補強する靭帯は多い。どのようなものがあるか
2. 膝蓋骨 patella
膝蓋骨は最大の種子骨 sesamoid bone 。左右の区別はできるか
3. 脛骨 tibia
3-1. 上端
・顆間隆起 intercondylar eminence (19);この前後に着く靭帯は
・内側顆 medial condyle (20-1),外側顆 lateral condyle (20-2);左右の関節半月の大きさと対応しているか
・腓骨関節面 fibular articular facet on tibia (21);左右判定のときの目印。
---- 脛腓関節 tibiofibular joint (22);動くか
3-2. 体部
・脛骨体 shaft of tibia (23)
・前縁 anterior border (24);弁慶の泣き所!
・脛骨粗面 tibial tuberosity (25)---- 膝蓋靭帯 patellar ligament
・骨間縁 interosseous border of tibia (26)
・ヒラメ筋線 soleal line (27);何が着くか
(soleus= サンダル,舌平目)
3-3. 下端
・腓骨切痕 fibular notch (28)
・脛腓靭帯結合 tibiofibular syndesmosis (29)
・内果 medial malleolus (30);生体で触れてみよ。
4. 腓骨 fibula
この骨の左右の判定はむつかしい。この骨は膝関節に関与しない! ウマでは痕跡的にしか存在せず,脛骨の一部になってしまっている。
・腓骨頭 head of fibula (31)
腓骨頭関節面 articular facet of head of fibula (32)
・腓骨体 shaft of fibula (33)
前・後・骨間縁 anterior-, posterior- and interosseous border of fibula (34)
・外果 lateral malleolus (35)
腓骨の存在意義は,この外果と筋の付着部の提供?
5. 足の骨 bones of foot
足の骨 = 足根骨 + 中足骨 + 趾骨
5-1. 足根骨 tarsal bones
足根骨には7個の骨がある。
手根骨との相同については自由上肢骨でみた。
・踵骨 calcaneus (36)
踵骨隆起 calcaneal tuberocity (37) ---- 踵骨腱(アキレス腱) calcaneal tendon (Achillis tendon)
載距突起 sustentaculum tali (38)
・距骨 talus (39)
距骨滑車 trochlea of talus (40) ---- 距腿関節 ankle joint (41)
・舟状骨 navicular bone (42)
・内側楔状骨 medial cuneiform bone (43-1),中間楔状骨 intermediate cuneiform bone (43-2),外側楔状骨 lateral cuneiform bone (43-3)
・立方骨 cuboid bone (44)
長腓骨筋腱溝 groove for tendon of fibularis longus (45)
5-2. 足根骨の関節
・足根間関節 intertarsal joints
距骨下関節 subtalar joint (47);運動は
距踵舟関節 talocalcaneonavicular joint (48)
踵立方関節 calcaneocuboid joint (49)
横足根関節(ショパール関節)transvere tarsal joint(Chopart's joint)(50);臨床的意義は
楔舟関節 cuneonavicular joint (51)
・第1〜第5中足骨 metatarsal bones I -- V (52)
足根中足関節 (リスフラン関節)tarsometatarsal joints (Lisfranc's joint) (53)
臨床的意義は
中足間関節 intermetatarsal joints (54)
・趾骨 phalanx of foot
基節骨 proximal phalanx (56-1),中節骨 middle phalanx (56-2),末節骨 distal phalanx (56-3)
第五趾の中節と末節骨は癒合していることが多い(母趾の趾節骨の由来を示唆?)
6. 足弓
筋電図(EMG )による研究の結果,少なくとも静的な足弓(足アーチ)の支持には,筋は関与しないことがわかった (Basmajian & Stecko, 1963) 。
骨格構造によるアーチを石造りの橋(長崎の眼鏡橋,熊本の通潤橋など)と比較してみよ。
・縦足弓 longitudinal arch of foot (57)
内側部 medial part of longitudinal arch of foot (58-1),外側部 lateral part of longitudinal arch of foot (58-2)
扁平足 flat-foot とはどのような状態か
・近位・遠位横足弓 proximal and distal transverse arch of foot (59)

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