シンポジウム5 趣旨説明
子どもの発育と身体活動
オーガナイザー
佐竹隆(日本大学松戸歯学部)
最近の子どもの遊びの傾向は、集団や屋外での運動をともなう遊びは少なく、
テレビゲームなど室内での個人遊びが多くなった。また、地域や家庭内でのコ
ミュニケーションのあり方も変化した。特に、子どものコミュニケーション手段
にも携帯電話が頻繁に使われ、その急速な普及は子どもの社会性の発達に大きな
影響を与えていることは想像に難くない。また、合計特殊出生率も相変わらず低
下し少子高齢化がさらに進行している。また、諸外国と同様、治安の悪化も懸念
される問題になりつつある。このように、子どもをとりまく社会環境は急激に変
化し、それにともない子どもの生活スタイルも急速に変化している。
このような状況のもと、子どもの体格は向上したが、体力や運動パフォーマン
スは以前より劣り、さらに、子どもの生活習慣病も懸念されるようになった。こ
のような子どものからだに関する問題の原因の一つとして、身体活動量の減少が
挙げられている。ヒトのからだは、元来、動くようにできており、動くことに適
した身体構造と生理機構が備わっている。したがって、ヒトには適切な身体活動
量がいろいろな意味で必要である。発育期の子どもにとってはなおさらのことで
あろう。そこで本シンポジウムでは、からだと身体活動の関係、子どもと地域の
関わりや身体活動の関係などについての文献による研究や調査による研究の成果
を踏まえ、「子どもの発育と身体活動」について再考したい。