0歳から18歳までの身体発育基準作成
-食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会報告書より-
○加藤 則子1),村田 光範2)
1) 国立保健医療科学院 研修企画部,2) 和洋女子大学
【目的】厚生労働省の「食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会(-いわゆる「食育」の観点から-)」において、肥満や不健康なやせを早期に発見してゆくことの重要性が確認された。このためには乳幼児期から成人に至るまでの身体計測値を連続して評価するための基準値が必要であるが、これを作成することを目的とする。報告書上梓後、BMIについても基準を作成したので、併せて報告する。
【方法】乳幼児期(出生より就学前まで)に関しては平成12年に厚生省によって調査された、出生から就学前までの14,115件の身長および体重の発育データを用いた。これに加えて、学校保健調査で得られた幼稚園年長クラスから高校3年までの695,600件のデータを用いた。
身長、体重及びBMIの、パーセンタイル曲線の平滑化にあたっては、Cole(1990)のLMSメソッドを用いた。各年月齢分布につき、標準化処理を加えた平均(M)および標準偏差(S)とゆがみの度合いを示す値(L)を算出し、年月齢を横軸としてプロットし、それぞれを多項式を用いて平滑化した。最終身長のMの値処理にはQuoの第4サイクルをつなげた。各年月齢別に、これらの3つの数値を元に標準化変換式の逆をたどって計算し、各パーセンタイルの値を求めた。
【結果】男女別に、身長、体重及びBMIの3,10,25,50,75,90,97の各パーセンタイル曲線が得られた。
【考察】作成された発育基準の活用にあたっては、留意したいことがある。乳幼児期に当たっては、発育には個人差があり一人一人異なるので、保護者に余計な不安を与えないように留意するよう、啓発してきた。学童・思春期発育においては、本人に対し、悩みの原因にならぬよう、いじめ等を引き起こさないよう、また、プライバシーが守られるよう、工夫してゆくことが課題となる。
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