骨学実習のすすめ方

 諸君がこれから手にする骨は,いわば諸君の同胞,先達諸氏である.したがって骨(遺骨)を扱うときは礼を失することのないようにしなければならない.眼窩や鼻腔には紙よりも薄い骨がある.十分に気をつけよ.

  1. いま手にしている骨がからだのどこに,どのように位置しているか? 自分のからだにあててみたり,交連骨格を参考にして考えてみる.このためには,骨の上下,前後,内外側(これらが左右を決める)が正しく判定できねばならない.
  2. 骨の形,特徴,大きさ,厚さ等を観察する.どのような身近なものに似ているか(どの様にモデル化できるか)? 自分のからだの部分(指幅など)をもとにして計るとどうか? これらの事項によって骨はどの様なカテゴリーに分類できるか?
  3. 骨を詳細に観察する──突出,くぼみ,溝,孔など.これらはどのような器官(神経,脈管,筋など)と関係があるか? これらの位置は左右判定のときに役立つ.
  4. 有対性の骨であれば左右の判定を試みよ.
  5. 隣合う骨を連結させてみよう.関節の種類はどれか? 付着する筋を想定して動かしてみよう.(関節軟骨がないことに注意せよ)
  6. 骨の性差,年齢差についてはどうか? テキストの記載のようにはっきりしているだろうか? いわゆる個体差をどのように考えたらよいだろうか?
  7. 頭蓋では分解骨についても観察しよう.(教卓に展示されている)
  8. ヒト以外の動物の骨と比べてみよう.どのような違いがあるだろうか? 
  9. X線フィルム像ではどのように見えるだろうか?
 以上の諸点について観察したら(順番は不同でもよいが)各自の印象をメモ,スケッチしてみよう.スケッチは時には“真実を写す“写真に勝る.
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