ジュニア競泳選手の肩幅と腰幅の成長

○渡辺 將司

高井 省三

○筑波大学大学院 博士課程 人間総合科学研究科

筑波大学大学院 人間総合科学研究科

 

 競泳選手は成長中にトレーニングの影響を受けて肩幅が広くなると言われているが本当だろうか.本研究では,ジュニア競泳選手と一般の子どもの肩幅と腰幅の成長関係について多変量アロメトリー分析を行なった.競泳群は週に3日以上定期的にトレーニングをしている818歳の選手(男子のべ304名,女子のべ308名)である.対象群は,小城成長研究で12年以上の縦断的な測定を行なうことのできた児童生徒(男子のべ1093名,女子1642名)である.対数変換した計測値から男女別,群別に共分散行列を求め主成分分析を行なった.第1主成分はすべて91%以上の寄与率を示し,固有ベクトルはすべて正の符号をもっていた.したがって,第1主成分は成長ベクトルを表し,係数を比べることでプロポーションの違いを見ることができる.男子では対照群は腰幅と肩幅がほぼ等成長を示したのに対し,競泳選手の肩幅は腰幅に比べて優成長を示した. つまり,男子競泳選手は対照群よりも腰幅に比べて肩幅が広くなる.一方,女子では両群とも肩幅に比べて腰幅が優成長を示した.つまり,女子では肩幅の成長率が腰幅の成長率を上回ることはなく,競泳のトレーニングが肩幅の成長に与える影響は小さいことがわかった.


(第15回AUXOLOGY(成長学)研究会,2004年11月20日,仙台)

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